眠る森のお姫さま4

 四

 ふたりはその晩、ほんのわずかしか眠りませんでした。

王子は、あくる朝、王女にわかれて町へかえりました。

おとうさまの王様が、待ちこがれておいでになるところへ、
かえって行ったのでございます。

 王子は、狩かりをしているうち、森の中で道にまよって、
一軒けんの炭焼小屋にとまって、チーズや黒パンをたべさせてもらったことなどを
話しました。

おとうさまの王様は、人のいい人でしたから、
王子のいうことをほんとうになさいました。

けれど、おかあさまのお妃は、もうさっそく、

王子には、およめさんができていることを、おさとりになりました。

 それから二年たちました。

王女には、ふたりもこどもが生まれました。

上の子は女の子で、これは「朝」という名でした。

下の子は男の子でこれは「昼ひる」という名でした。

そのわけは、弟のほうが、ねえさんよりも、
ずっとりっぱで、美しかったからでございます。

 それからまた二年たって、王様がおかくれになって、
王子が、新しい王様の位につくことになりました。

そこではじめて、天下はれて、王女と結婚のしだいを、国じゅうに知らせました。

そうして、りっぱな儀式をととのえて、
あらためて、眠る森から、お姫さまをお迎えになりました。

王女はふたりのこどもを両わきにのせ、
美しい行列の馬車をそろえて、王様のお城に乗りこみました。

 美しいりっぱな、いい心をもったあいてを、
待っているということは、むずかしいことです。

でも、待つことによって、幸福はましこそすれ、へるということはありません。

眠る森のお姫さま3